ヘルペスは放置して自然治癒を期待してはいけない

ヘルペスをマスクで隠す女性ヘルペスは、HSV-1及びHSV-2、水痘・帯状疱疹ウイルス、EBウイルス、サイトメガロウイルス、HHV-6型~HHV-8型の8種類のウイルスによって発症するとされ、治療にはバラシクロビルやアシクロビル、ビダラビンなどの抗ウイルス薬が処方されています。しかし、現在の医薬品ではウイルス自体を完全に死滅させる事は不可能とされ、放置しても自然治癒は難しいとされています。

ヘルペスウイルスは、感染後ウイルスゲノム及びカプシド蛋白質を覆うエンベロープを感染細胞から生合成する為、人間の細胞との親和性が非常に高く口唇ヘルペスを発症させるHSV-1は三叉神経節、性器ヘルペス感染症を発症させるHSV-2は腰髄神経節及び仙髄神経節へ潜伏感染してしまい、1度感染すると症状が鎮静化しても一生涯神経節の奥深くにウイルスを保有する事となり自然治癒する事は無く、免疫力や医薬効果が低下した際に再発を繰り返します。

性器ヘルペス感染症は、初感染時には発熱や頭痛、激しい痛み、強い痒みなどの自覚症状を発症する事もありますが、約70%の感染患者に自覚症状が無いとされ再発を繰り返す度に症状が軽くなる特徴があり、再発自体に気付き難くなり放置される事が多く適切な治療が遅れ重症化する事が数多くあります。特に女性は、男性に比べて自覚症状が少なく適切な治療が遅れ重症化するケースが多く、長期感染は命の危険にさらされる事もあります。

女性は、HSV-2に感染後2日~10日の潜伏期間経て子宮頸管炎や子宮内膜炎を発症しますが、顕著な自覚症状が無い為適切な治療が行われる事無く放置され、不妊症の原因となる卵管炎や腹膜と内臓が癒着し激しい痛みを伴う骨盤腹膜炎を発症する事があり、自然治癒が期待出来ないHSV-2の長期にわたる子宮感染は子宮頸癌の前癌病変や子宮頸癌の発症リスクを高める弊害もあります。

性器ヘルペスは、過剰なストレスの蓄積による自律神経の乱れや過度の疲労、疾患などにより免疫力が低下すると神経節に潜伏感染しているウイルスが急激に増殖し再発しますが、1年に6回以上再発を繰り返す感染者も少なく無く、2カ月から最長1年の再発抑制治療を行う感染者も多くいます。特に妊婦は、妊娠により通常時とは異なるホルモンバランスとなっている為、通常時よりも再発し易く胎児や新生児への感染リスクが高くなるので、定期的な妊婦健診に加え自主的な検査を受診する必要性があります。

ヘルペスの放置で自然分娩が不可能になる?

性器ヘルペス感染症は、一般的に妊婦健診で感染に気付き適切な治療を行った後、自然分娩を行いますが、適切な治療を行わず放置し、出産間近に感染及び再発した場合には自然分娩時に産道感染を引き起こし新生児がヘルペスに感染するリスクが非常に高くなる為、自然分娩を避けて帝王切開での出産が行われています。

新生児ヘルペス脳炎は、血行性の感染経路でヘルペスウイルスが大脳辺縁系及び側頭葉系を中心に侵入し、再生能力の無い脳細胞に病変を形成するので症状が鎮静化しても重篤な後遺症を発症するリスクが非常に高い感染症とされています。新生児ヘルペス脳炎は、全身型症状が最も多く、中枢神経型症状の表在型症状の順で発症します。

全身型の新生児ヘルペスは、血行性の感染により全身の臓器にウイルスが広がり出産後2日~7日で発症し、授乳力の低下や無呼吸、発熱、黄疸などを発症し、現在でも約40%の新生児が死亡してしまいます。中枢神経型は、出産後2週間以内に発症し、発熱や痙攣などの症状が見られ、運動麻痺や知的障害、高次脳機能障害、嚥下障害などの重篤な後遺症を発症する脳症を発症する事があります。表在型は、目や口、皮膚に水泡が生じますが、全身型や中枢神経型に比べて予後が良く、後遺症のリスクがほとんど無いのが特徴です。